沖縄の心を心に
参院選で戦後補償の前進を
葉桜に風が薫る季節なのに、くり返す寒波の襲来。くれぐれもお体にご留意ください。同盟運動にとっては歴史と伝統を受け継ぐ国会請願行動の時期。国民的には、沖縄普天間基地撤去をめぐって全国的に湧き立ち、五〇年前のあの安保大闘争が想起されます。そして国際的には、海の向こうでいよいよ核兵器のない世界をめざして「NPT再検討会議」が進行中です。若い方がたをふくめ、とかく老躯に鞭打っての署名運動、ご苦労さまでした。
通常国会終了後はいよいよ参議院選挙。奴隷制度時代にさかのぼってのアメリカの反省、スペインの「歴史の記憶法」、オーストラリアの先住民抑圧政策の謝罪など、いずれも政権交代を機に実現しています。治安維持法犠牲者の名誉回復はじめ、戦後補償問題の前進に絶好のチャンスが目前です。
米軍普天間基地の県内移設に反対して開かれた9万人の県民大会(4月25日沖縄県読谷村)
2010年5月15日 不屈 №431
新政権下国会請願の成功と、
参院選で同盟要求実現をめざす
2010年4月中央常任理事会
中央常任理事会が4月10日、全労連会館で開かれ、目前に迫った国会請願行動の成功と、民主党を中心とする新政権のもとで同盟の要求実現活動を前進させるとともに、来るべき参院選で要求実現勢力の前進めざし全力をあげることを意思統一しました。
柳河瀬精会長が開会あいさつを兼ねて、新政権のもとで同盟活動を発展させようと別項の問題を提起。近江谷昭二郎副会長を議長に選出した後、針谷宏一事務局長が、情勢の特徴と当面の同盟の任務について提案し17人が発言、国会請願の成功を確認し合いました。
Ⅰ、情勢の特徴と同盟の任務
1、政局の動向
鳩山政権は、普天間基地問題で迷走。沖縄県民と連帯し、たたかいを発展させる。子ども手当、高校授業料無料化など、部分的には前進面も。
後期高齢者医療制度廃止先送り、労働者派遣法は財界に屈し、国民の怒りが広がっている。
来るべき参院選で要求実現勢力の前進をめざす。
2、人権問題
横浜事件で刑事補償が決定。堀越ビラ弾圧事件で東京高裁が逆転無罪判決、検察が控訴。たたかいを発展させる。
3、同盟活動
各地で多喜二祭や、3・15記念などの取り組みが広がり、これと結んで署名活動も前進している。
Ⅱ、当面の活動方針
1、国会請願署名
4月1日現在、全国的には39・5%。60%超は10県(青森、岩手、秋田、山形、千葉、岐阜、鳥取、岡山、高知)、40%台10道県(北海道、福島、山梨、長野、新潟、富山、兵庫、島根、徳島、愛媛)。
5月13日までに目標突破のため全会員の総力を挙げた取り組みが必要。各県は目標をやりきる支部への指導・援助を強める。全会員へあと5筆、10筆を呼びかける。
2、犠牲者の調査・発掘名簿作成
現在13県が提出。全県・支部から中央へ集中を。
3、全地方議会へ請願・陳情を
宮崎・門川町で3月採択。地方議会も変化、議会の意見書は国会・政府を動かす力となる。
4、犠牲者を顕彰する活動
諸活動と結んで映画「鶴彬こころの軌跡」上映活動に取り組む。
5、支部を基礎にした取り組み
4月1日現在の会員1万4609人。大会以後の増が24県66人。
6、国際活動(略)
討論では、支部を基礎にした活動の重要性、女性部活動の強化、新政権のもと署名運動を発展させるにも有権者比1%目標の重要性が提起され、国会請願では、文字通り全国会議員に働きかけることを確認しました。
2010年5月15日 不屈 №431
NHKの歴史秘話ヒストリアで二月に放送された「蟹工船・小林多喜二のメッセージ」の反響が続いています。久しぶりに会った友人が興奮気味に語ります。特に熱を込めたのは国家テロリズムへの怒りです▼当時の新聞は多喜二の死を「心臓麻痺」と報じます。しかし、テレビ画面に映し出されたのは特高による拷問・虐殺の実相でした。「おまえ達は殺してよいことになっている」と、裁判にかける前に八〇名余が密室による蛮行で虐殺されたと言われますが、消息不明もありその実態は明らかではありません▼戦後、治安維持法は廃止され「刑の言い渡しをうけざりしものと見做す」として受刑者は解放されたものの、虐殺された者に対しては何の処置もとられず、一切の音沙汰がないまま今日に至っているのです▼韓国では日本植民地時代の治安維持法犠牲者は、愛国者として表彰され遺族に年金が支給されています。真の愛国者の名誉回復を求めて同盟の運動はますます重要です。(池)
2010年5月15日 不屈 №431
同盟運動を発展させよう
柳河瀬精
1、「戦争しない国」を守り続ける立場から民主党政権を考える
・民主党政権の安保防衛問題の対応は自民党路線の踏襲が色濃く出始めている。
・普天間基地撤去問題では「迷走」を続けていると国民の目に映っている。
・3月9日、日米間の密約問題に関する「有識者委員会」「報告書」を政府が発表したが、きわめてあいまいな内容に多くの国民が唖然とした。各種委員会は、これまでも自民党と一緒に安保防衛問題に取り組んだメンバーもおり注意。
2、新しい政治状況のもとで同盟運動を発展させよう
①侵略戦争への謝罪の問題。鳩山首相は「東アジア共同体」を提唱したが、胡中国主席との会談では「前向きに対処」をとしているが、「歴史認識の問題がある」と軽くあしらわれた。
②植民地支配謝罪の問題。今年は韓国強制併合100年。岡田外相は「韓国の人々にとって国を奪われ、民族の誇りを傷つけられた事件」と発言。日本に強制徴用された朝鮮人労働者は約100万人にのぼる。この強制連行者を雇用した日本の企業は未払い賃金を政府に供託した。しかし朝鮮人労働者の手元にはとどいていない。民主党政権は、その約10万人分の副本を引き渡すとしている。
③治安維持法の問題は同盟が切り拓かなければならない。一九四五年に治安維持法が廃止されたとき、刑を受けていた生存者は、其の刑は「なかったものとみなす」とされた。しかし虐殺され獄死した者はそのまま打ち捨てられたままになっている。原点に立ち同盟運動を発展させよう。(本部会長)
2010年5月15日 不屈 №431