同盟歌壇 碓田のぼる選
鳥取県大久保禮吉
垂れ幕の「完全無罪」に包まるる苦節を超えし菅家さんの笑み
〈評〉無実の罪が、ついに明らかにされた喜びがよく表現。
大分県渡辺幹生
餓えに泣きし吾が青春を文に書き高校生の孫に送りぬ
〈評〉戦争体験の風化はさせずと、まず血につながる孫に。
静岡県江川佐一
国会の請願五月に迫りたり鰻屋に入りて三筆いただく
〈評〉同盟の国会請願の成功のためにとりくむ日常の表現。
新潟県加茂川ハル子
乗る度に席ゆずりくるる若きらいて東京の電車好きになりたり
〈評〉頼れる次代の若者おり、と言った喜びであろう。
新潟県柳川月
甲子園球場よりの喚声がきこえくる町に昔住みたり
〈評〉回想の中の若々しい声に、自らも励ましているか。
福井県元山章一郎
スーツ着け就活中の若者に桜散りても春いまだ来ず
〈評〉されど君らには未来がある、との思いも強く含む。
岐阜県和田昌三
「叩かれて頭へこんだ」と強制連行されし楊さんこの春逝きし
〈評〉いつも頭に手をやったそんな仕草を読者も思う。
和歌山県中平喜祥
札幌のグループホームの事故かなしまた新聞を引き出してみる
〈評〉高齢者のゆきついた先の事故にまた起こる怒りも。
兵庫県岸本守
「あなたもか、兄さん戦死か」と確かむるそれより親しき仲間となりぬ
〈評〉作者にも共通する体験があったのであろう。
2010年5月15日 不屈 №431
各地で女性部活動生きいきと
◆高知県女性部総会開く
4月17日午後、高知城ホールで2年目の女性部総会が開かれ、東部安芸支部、山田香北支部、香南南国支部、高知市北支部、南支部から代表者や全国女性交流集会参加者など20 名が参加。
90歳を越えた石川愛子女性部長の稟とした挨拶が参加者を励まし、また全国女性交流集会に参加した胡麻崎、門脇、中田、澤本さんがすべての運動の基本に同盟運動をおく地域活動をすすめていることが報告されました。夫の遺志をついで署名用紙を1枚1枚休みなく届ける浜田さんの活動や、若い掛橋さんの参加が会議を楽しくさせてくれました。総会では、レッド・パージ犠牲者との連帯、県理事会報告の徹底などの意見が出され、女性部役員を選出しました。
◆兵庫県女性部「春のつどい」
兵庫県女性部は、力を大きくして、ふたたび戦争と暗黒政治を許さない、憲法の守られる政治を実現するために頑張りどきと全県女性会員に呼びかけて4月18日、神戸市で「春のつどい」を開き17名が参加しました。
佐野陽三県同盟会長の激励をうけ、安武ひろ子(元参院議員)さんが、「女性と平和―心よせあえば道はひらける」と題して記念講演。1945年の神戸大空襲での焼野原と恐怖がその後の反戦と生きる原点となり、日本共産党に入党し、反戦平和を訴えてきたこと、国会では安保問題などで活躍した経験をのべ、昨年、その証言として歌集『いのち愛し』を発行したこと、治安維持法で小林多喜二が虐殺され、アカ攻撃の中で戦争協力を強制されていったことなどが話されました。私たち女性会員は安武さんの講演に感動し、同盟運動の一層の前進と参院選勝利のために力を寄せ合う決意を固めあいました。
2010年5月15日 不屈 №431
抗日運動の先駆けとなった東学農民運動の地
世界遺産・新羅の古都などを訪ねる
10月12日~17日 韓国平和連帯の旅要項決まる
同盟主催の2010年韓国平和連帯の旅が10月12日(火)~17日(日)まで、左記の日程で行われます。今年は日韓併合100年の節目の年。今回は全羅北道の全州を訪問し、日清戦争に勝利した日本が朝鮮の植民地化を進める中で、それに抵抗する抗日運動の先駆けとなった東学農民運動の歴史に触れます。
また、慶尚南道の晋州では、日本占領下の朝鮮で小学校の教師を務め、朝鮮人とともに生きた、治安維持法犠牲者でもある上甲米太郎ゆかりの地を訪問。後半には世界遺産でもある新羅の古都慶州を訪問します。
◇参加費予価16万円、
◇締切 8月31日、申込みは富士国際旅行社 03―3357―3377(小野寺、西須)
2010年5月15日 不屈 №431
『治安維持法と現代』 2010年春季号
【主な内容】日韓「併合」100年と治安維持法=林洋武、未完の植民地支配と分断の時代に生きる在日朝鮮人=鄭栄桓、横浜事件第4次再審・刑事補償決定について=大川隆司、横浜事件刑事補償決定と同盟活動と課題=増本一彦、改定安保50年ー今こそ安保廃棄の世論を多数派に=早坂義郎、国連女性差別撤廃委勧告について=堀江ゆり、葛飾ビラ事件最高裁不当判決と今後の闘い=松井繁明、三重県労働運動の先覚者野口平民=山下正行、反戦平和の旗を掲げ折原村に生きた北条英=大森弘志など、学習材料が満載。A5版、定価1000円、送料210円、和歌山県本部でお求めを。
治安維持法と現代を結ぶ総合誌
企画・編集治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟
2010年5月15日 不屈 №431
ビラ配布 逆転無罪 勤務外活動 処罰は違憲
公務員の政治活動禁止「広すぎる」
堀越事件で東京高裁
2003年11月、休日に自宅近くで「しんぶん赤旗」号外などのビラを配り、国家公務員法違反(政治的行為の制限)に問われ、一審で罰金10万円、執行猶予2年とされた元社会保険庁職員、堀越明男さん(56)の控訴審判決が29日、東京高裁でありました。中山隆夫裁判長は「このような被告の行為を刑事罰に処することは、表現の自由を保障した憲法に違反する」として逆転無罪を言い渡しました。東京高裁に詰めかけた多数の市民や支援者からは、「憲法は守られた」と喜びの声があがりました。
(写真)
無罪判決をうけて支援者らにお礼と決意を述べる堀越明男さん(中央)
=29日、東京高裁前
一審の東京地裁は、国家公務員法による公務員の政治的活動の禁止を合憲とした1974年の猿払(さるふつ)事件の最高裁判例を踏襲しました。中山裁判長は国公法の政治活動の制限そのものは「合憲」としながらも、今日では国民の意識は変化し、表現の自由が特に重要だという認識が深まっていると指摘。勤務時間外まで全面的に政治活動を禁止するのは、規制が不必要に広すぎるとの疑問があるとしました。
そのうえで、堀越さんが行った行為は、私人として休日に職務と無関係に、公務員であることを明かさずに行ったにすぎないとして、「国の行政の中立的運営と、それに対する国民の信頼確保を侵害するとは常識的に考えられない」と認定。「被告を処罰することは、国家公務員の政治活動の自由にやむを得ない限度を超えた制約を加えたもので、憲法21条などに違反する」と結論づけました。
さらに、「わが国の国家公務員への政治的行為の禁止は、諸外国と比べて広範なもの。世界標準という視点からも、刑事罰の対象とすることの当否、その範囲を含めて再検討されるべき時代が到来している」と異例の付言をしました。
一方、堀越事件は、そもそも尾行、ビデオ撮影など公安警察による違法な捜査により、日本共産党の活動を弾圧する目的ででっちあげられたものでした。高裁判決はこれらについては言及しませんでした。
判決後、堀越さんは「表現の自由は守られました。日本の歴史が変わったと感じる判決でした」と喜びを語りました。
-------------------------------------------------
判決の骨子
一、国家公務員法や人事院規則による公務員の政治活動禁止は憲法に違反しない。
一、被告の行為は行政の中立的運営、行政に対する国民の信頼確保を侵害しない。
一、本件の処罰は国家公務員の政治的活動の自由に限度を超えた制約を加え、表現の自由を保障する憲法21条に違反。
2010年3月30日(火) 「しんぶん赤旗」
More > asahi.com