戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約
採択 1968年11月26日 効力発生 1970年11月11日
前文
省略
戦争犯罪と人道に反する犯罪が国際法における最高の重罪に属することを考慮して、
戦争犯罪と人道に反する犯罪の有効な処罰が、前記の犯罪の防止、人権と基本的自由の擁護、諸国民の相互の信頼の確立及び協力体勢の推進、国際的平和と安全のための重要な要素であることを確信して、
通常の犯罪のために定められた国内法の時効規定を、戦争犯罪と人道に反する犯罪に適用することは、前記の犯罪に責任を負うべき個人の訴追と処罰を妨げ、従って国際世論に重大なる危惧を招来することを確信して、
この条約により、国際法上、戦争犯罪及び人道に反する犯罪には時効が存在しないという原則を確認し、この原則が全世界的規模で適用されることを保証することが必要であり、かつ時宜に適っていると判断して
次の通り合意に達した。
第1条
時効は、次に掲げる犯罪には、その犯罪の行われた時期にかかわりなく、適用されない。
a 戦争犯罪
すなわち1945年8月8日のニュルンベルグ国際軍事裁判所規約で定義され、1946年2月13日の第1回国連総会決議3及び1946年12月11日の同国連総会決議95によって確認された戦争犯罪。
とくに戦争犠牲者の保護に関する1949年のジュネーブ協定に列挙された「重大な違反」。
b 人道に反する犯罪
すなわち戦争中たると平時たるとを問わず、1945年8月8日のニュルンベルグ国際軍事裁判所規約で定義され、1946年2月13日の第1回国連総会決議3及び1946年12月11日の同国連総会決議95によって確認された人道に反する犯罪、武力攻撃又は占領による追放、アパルトヘイト政策に結果する非人道的行為ならびに1948年の集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約に定義された集団殺害の犯罪で、かかる犯罪行為が犯罪の行われた国の国内法規に違反しない場合を含む。
第2条
第1条で言及する犯罪のいずれかが行われた場合、この条約の規定はその遂行の程度に関わりなく、首謀者もしくは協力者として前記の犯罪行為に参加し又は直接他を教唆して犯罪を遂行せしめ又は犯罪行為を共謀した国家官憲の代表者及び個人並びにかかる犯罪行為を容認する国家官憲の代表者に適用される。
第3条
この条約の締約国は、この条約の第2条に掲げた個人の国際法に基づく引き渡しを可能ならしめるために、すべての必要な国内の立法措置又はその他の措置を講ずる義務を負う。
第4条
この条約の締約国は、この条約の第1条、第2条に該当する犯罪の訴追及び処罰には、法律上の、又はその他の時効規定を適用せず、前記の時効規定の存する場合はこれを破棄することを保証するため、各締約国の憲法に定める手続に従って、全ての必要な国内の立法措置又はその他の措置を講ずる義務を負う。
第5条
この条約は、全ての国連加盟国又は全ての国連の特別機関もしくは国際原子力機構の加盟国、国際司法裁判所規程の全ての締約国、及びこの条約の締約国となるべく国連総会に招請を受けた全ての他の諸国の署名のため、1969年12月31日まで開放しておく。
第6条
この条約は批准されなければならない。批准国は国連事務総長が保管する。
第7条 省略
第8条 省略
第9条 省略
第10条 省略
第11条 省略