時の焦点 NPT再検討会議
いまたけなわの「核不拡散条約(NPT)再検討会議」。1970年から25年期限ではじめられたNPT。当初からも1995年無期限延長をアメリカが強行した際も、当時の核保有5カ国の独占優位の差別的条約であり、核兵器廃絶に直結するものではないとして、国際世論は否定的でした。
すべてにわたってアメリカいいなりの日本政府も、調印はしたものの6年間も批准を回避しつづけました。もっとも日本政府の真意は、被爆国として核兵器廃絶を主張する立場ではなく、将来の核兵器開発・保有の道を閉ざすものとしての好核的な、日本核武装の魂胆からでした。しかし核兵器廃絶をめざして、あらゆる機会を活用しようとした国際世論と非同盟諸国や、同盟国も含むアジェンダ連合の、毎年の国連総会や5年ごとのこのNPT再検討会議の場での粘りづよい努力により、核不拡散にとどまらず核廃絶を指向する國際討議の場に、NPT再検討会議を昇華させたのです。
今日核問題を専門的に協議する公的な国際会議がNPT再検討会議以外ない現実的条件の中で、国際世論は、核保有国への核軍縮への明確な努力を求めたのです。
この道理ある国際世論は一度は実を結んで2000年の本会議では核保有国の核軍縮への明確な努力の実行の決議がアメリカをふくめ採択されました。しかしこの世界の貴重な歴史的到達点も、ブッシュ政権の核兵器先制使用政策と國際テロとの戦争政策により、2005年の本会議で、反古(ほご)にされてしまったのです。
あれから5年目。核兵器のない世界を唱えたオバマ政権にとって試金石のNPT会議。65億人類の死活的課題として、「核兵器廃絶国際条約の締結」と「2万数千発の核兵器を廃絶する政治的、工学的日程」を専門的に論議する国際機関や國際会議設定の採択が期待されます。(元)
2010年5月15日 不屈 №431